今回は、1980年代前半に現れた邪悪なスラッシュ・メタルを聴かせていたバンドの作品を取り上げたいと思います。
具体的には、1983年から1985年にリリースされた作品です。
邪悪なスラッシュ・メタルは、1980年代前半がピークですが、その音楽性と精神性は、後にデス・メタルやブラック・メタルに引き継がれていきます。
そして、ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)と邪悪なサウンドとイメージの元祖的存在であるVENOMの影響を受けています。
今回、紹介している作品には、整合性という言葉は似合いません。
荒々しい演奏を聴くことができますが、その勢いが邪悪さを醸し出しています。
そして、歌っている歌詞もイメージ先行で、文法的にもおかしく、稚拙なものもあります。
しかし、それらの演奏や歌詞が邪悪さを引き出していると思います。
1980年代前半は、スラッシュ・メタルの創成期です。
まだ、ピークを迎える前の段階です。
完成されていなくて、当たり前だと思います。
今回、取り上げた作品は、デビュー作品ばかりになりました。
そして、取り上げているバンドは、後に、成長して、スラッシュ・メタルの世界で地位を築いたバンドが多いです。
若かりし頃の過ちと思っているバンドもいるかも知れませんが、まだデビューしたばかりで、バンドとしての骨格を模索している時期でもあり、時代背景がそうさせたのかも知れません。
どのバンドも今回取り上げている作品を否定していないはずです。
この記事を書くにあたって、作品を聴き直しましたが、どれも好きな作品ばかりでした。
初めてスラッシュ・メタルを聴く方には、厳しい内容かも知れませんが、邪悪なスラッシュ・メタルを堪能したければ、是非とも聴いて欲しいものばかりです。
今回は、9枚の作品を選びました。
紹介している作品以外でも、邪悪なスラッシュ・メタルを聴かせているバンドが居るかも知れませんが、もし漏れているバンドがいるようであれば、ご容赦願います。
紹介している順番は、バンドをアルファベット順に並べただけです。
作品のジャケットとYouTubeを貼らせていただきます。
それでは、紹介していきたいと思います。
BATHORY – Bathory

1984年10月2日、Black Mark Productionからリリース。
ファースト・アルバム。
スウェーデン出身。
初期の作品はブラック・メタルの起源となる重要なバンド。
録音状態は良くないが、VENOM影響下のスラッシュ・メタルを聴くことができる。
BULLDOZER – The Day Of Wrath

1985年3月13日、Roadrunner Recordsからリリース。
ファースト・アルバム。
イタリア出身。
下品さと冒涜的なイメージを持つバンド。
ロックン・ロールが根底にあるスラッシュ・メタル。
CELTIC FROST – Morbid Tales

1984年11月、Noise Recordsからリリース。
ファーストEP。
スイス出身。
HELLHAMMERから発展的に誕生したバンド。
最初から疾走感のある曲もあるが、ヘヴィで緩急のある楽曲が特徴的。
DESTRUCTION – Sentence Of Death

1984年11月10日、SPV / Steamhammerからリリース。
ファーストEP。
ドイツ出身。
DESTRUCTIONが邪悪さを醸し出していた頃の作品。
技術的には問題ありだが、スピード感のある楽曲を聴くことができる。
HELLHAMMER – Apocalyptic Raids

1984年4月、Noise Recordsからリリース。
ファーストEP。
スイス出身。
CELTIC FROSTの前身バンド。
邪悪さ満点の疾走感のある楽曲を聴くことができる。
POSSESSED – Seven Churches

1985年10月16日、Combat Recordsからリリース。
ファースト・アルバム。
アメリカ出身。
リリース当時、メンバーは現役の高校生。
「Death Metal」という曲が収録されているように、デス・メタルの誕生に一役買った作品。
SEPULTURA – Bestial Devastation

1985年12月1日、Cogumelo Recordsからリリース。
ファースト・スプリット・アルバム。
ブラジル出身。
ブラジルから世界的存在になったバンド。
同じレーベルのOVERDODEとのスプリット盤でデビューを果たすが、聴こえてくるのは、ブラック/スピード・メタルの元祖的な荒々しい楽曲。
SLAYER – Show No Mercy

1983年12月3日、Metal Blade Recordsからリリース。
ファースト・アルバム。
アメリカ出身。
悪魔的なイメージで活動していた頃のアルバム。
NWOBHMの影響を受けており、攻撃的で、原始的なスラッシュ・メタルが聴ける。
SODOM – In The Sign Of Evil

1985年1月、Devil’s Gameからリリース。
ファーストEP。
ドイツ出身。
ブラック/スピード・メタル時代の作品。
演奏はめちゃくちゃで、歌詞も稚拙だが、勢いがそれらを帳消しにしている。
9枚紹介しましたが、内6枚がヨーロッパのバンドです。
NWOBHMやVENOMの音楽的な影響から地域的にも近いヨーロッパの方が邪悪なバンドを輩出しやすかったのでしょうか。
アメリカ大陸のバンドは、POSSESSED、SEPULTURAとSLAYERですが、特にSLAYERはまだNWOBHMの影響下にある作品なので、やはりヨーロッパの影響が強いです。
これらの作品以外にも邪悪な作品は多く存在しますが、スラッシュ・メタルが発展していくにつれて、邪悪さは影をひそめるようになります。
やはり、邪悪さはマイナーな存在でこそ、本領を発揮します。
紹介している作品は、約40年前のものばかりですが、これからもこれらの作品を聴き続けると思います。




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